地域での取り組み

下諏訪酒害者回復クラブ

アルコール依存症からの回復・自助を支援

回復の難しいアルコール依存症

全国にアルコール依存症の疑いのある人は440万人、治療の必要なアルコール依存症の患者さんは80万人いると推計されています。アルコール依存症からの回復には『通院』『抗酒剤』『自助グループ』を柱とした治療を続けることが必要といわれています。アルコール依存症には治癒はなく、回復という状態を続ける他ありません。断酒を継続しなければいけない病気です。回復者は入院治療に繋がった方でも全体の2~3割といわれています。
県内の自助グループ(家族のグループ含め)は約50箇所あります。

アルコール治療の専門プログラムのある『県立こころの医療センターこまがね』(元駒ヶ根病院)の当時の師長さんの呼びかけで、アルコール依存症回復者の増加を図るため、2002年10月31日に当院で自助グループ『下諏訪酒害者回復クラブ』を発会させました。回復クラブは当事者や家族、誰でも自由に参加することができます。医療スタッフと、月に1度は町の保健師さんも参加する『半自助・半治療グループ』です。祝日やお盆・お正月関係なく毎週木曜日に例会があり、例会出席により酒害体験を語り合うことで、お酒のない生活がどんなに貴重なものなのかを確認し合うことができ、それが断酒継続の力となります。当事者、家族、地域の保健師さん、みなさんの協力があり安心して自分を出せる所、気楽な所、大切な仲間のいる所に発展し、2017年に15周年を迎えました。

15周年記念として2017年10月拡大例会とし院内職員に参加の呼びかけ、同年12月には記念講演として依存症を社会全体の問題として捉えようと『つながり直す依存症社会』という記事を連載した信濃毎日新聞社の稲田俊記者をお呼びし「アルコール依存症に関わる取材の中で見えてきたもの、伝えたいこと」について講演をしていただきました。
「だらしがない」「意志の弱い人」というような依存症に対する厳しい目があること、社会の生きづらさから人は何かに依存してしまうといったこともあります。その根っこにこそ社会は着目しなければならないとお話してくださいました。当事者・地域の保健医療機関の方々など合わせて70名を超える参加がありました。

2022年9月1日に例会が1000回目の開催となり、20周年を迎えました。当事者の方含め、地域の方に何らかのメッセージが届くような企画をと、9月拡大例会、11月記念講演会を実施しました。

今後もアルコール依存症者の支援のために地域の受け皿としてこの会を大切にし、継続していきます。アルコール関連のことで気になることがありましたら、お気軽にご相談ください。どなたでも回復クラブの参加可能です。

  • 毎週木曜日19時から20時(2022年10月現在)で開催しています。